読書日記7
- 作者: 芦原義信
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/04/16
- メディア: 文庫
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読みました。いまさらだけど。かなり読みやすい内容。一日でさっくり読めた。世界各地の都市の街並みをその国の土地、気候条件などを背景にして読み取り、理論的に考察している。三十年以上も前に書かれた本書は現在でも示唆に富んでいるといえる。
日本とその他諸国における空間領域の秩序形成が大きく異なる。西欧の住まいには都市や街のような公共的空間の外部秩序の一部であるという基本的な考えがあるのに対して、日本の住まいには家庭やプライパシーを大切にする内的秩序であるという基本的な考えがある。西欧が家の中でも靴を履いていることに対して、日本が靴を脱いでいる、というのもそれを示している一つである(またそれは、日本が「家」という内部空間に重きを置き、塀をめぐらして、外部空間には無関心であった、ということも意味している)つまり、日本には日本の秩序形成があり、その背景を読み取らなければ、街並みが美しいからといって、単に西欧の都市計画を追っかけても失敗することがある。外から内に向かっての統一の方法も勿論考えられることは考えられるが、内から外への統一の方法も十分に考えられることがあるだろうと。いやあーこれにはまいった。尊敬します。
さて我々は三十年たった現在、人間のための美しい街並みの創造をどれほど実践してこれたのだろうか。
「広場」の章はカミロ・ジッテに通ずるものがあったな。「広場の造景」もコルビュジェの「建築を目指して」もタイムリーに読んでたのでかなり面白かった。
あと余談ではあるが、コルビュジェは建築よりも絵画のほうが「イイネ!」てなることがあって、「俺建築とかまるでわかっちゃいないんだろうか」とか思ったことあるんだが(別に美術がわかっているわけではない)、この本読んでそれもそれなりに理由があったのかなーって思ったり。