読書8

テクノスケープ―同化と異化の景観論 (景観学研究叢書)

テクノスケープ―同化と異化の景観論 (景観学研究叢書)

高架下建築

高架下建築



近年までは、首都圏にみられているように、土木デザイン(ひいては、建築物なども含めた都市デザイン)においては匿名性、徹底したマニュアル化などによるスピード、機能性等に重きをおいた傾向にあり、例えば建築などの業界にみられるような設計者のクレジットや意匠デザインも大々的にはみられてはきていない。いわばデータベースに従うように土木構造物や建築物の形態が決定され、都市部における景観の地域性(固有性)が失われていく恐れがある。


首都圏に見られているように、土木や建築業界の匿名性、徹底したマニュアル化によるスピード、機能性を重きにおいた傾向は決して喜ばしいことではないが、一概に悪とすることは出来ない。ひとつの例として、岡田昌彰氏が提唱した概念の「テクノスケープ」は、設計者の美的な意図は最初からほとんど存在しておらず、効率さを求めた綿密な計算によって生み出された無機質な構造物に対して、事後的に新たな価値を発見することによって、均質性(効率性)と固有性(地域性)を同時に内包する景観という両義性を獲得することに成功しているともいえる。短い感想としては、そんな感じ。